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2024年、サウジアラビアで世界最大規模のeスポーツ大会「Esports World Cup(EWC)」が初めて開催されました。これまでに類を見ないほどの規模と高額な賞金を誇り、世界中から注目を集めました。国内外の強豪チームが競い合い、サウジアラビアのeスポーツシーンも大きな盛り上がりを見せたとのことです。今回は、EWCの特徴やサウジアラビアのeスポーツ産業について詳しく解説します。
第1回EWCがサウジアラビアにて開催
2024年7月3日から8月25日にかけて、世界最大規模のeスポーツ大会「2024 Esports World Cup(EWC)」がサウジアラビアのリヤドで盛大に開催されました。ここでは、EWCがどのような大会か解説します。
EWCとは?
Esports World Cup(eスポーツワールドカップ)は、これまでサウジアラビアで行われていた「Gamers8」からアップデートされ、新たに創設されたeスポーツの祭典です。この大会は、ムハンマド皇太子の指揮のもと、eスポーツを通じてサウジアラビアの国際的な影響力を強化し、国内のエンターテインメント産業を成長させる目的で始められました。
EWCの特徴として、他の大会と比べて圧倒的な規模の大きさがあげられます。総額90億円以上に及ぶ賞金は、eスポーツイベントとしては過去例がなく、各タイトルでの賞金額もかなり高額です。例えば、Apex Legendsでは約3億円、Fortniteでは約1.5億円が用意され、多くの選手やチームがこの大会にかける期待は非常に高いものでした。
競技は、22のトーナメントで21のタイトルにわたり行われ、参加チーム数は500以上を記録しました。今大会で採用された競技タイトルの一例を紹介します。
- Apex Legends
- Fortnite
- League of Legends
- VALORANT
- Counter-Strike: Global Offensive
- Dota2
- FIFA
- Rainbow Six Siege
- ストリートファイター6
- 鉄拳8 など
これらのタイトルにおいて、各チームやプレイヤーが世界一を目指して激しいバトルを繰り広げました。
史上初のEWCクラブチャンピオンは?
EWCの初代クラブチャンピオンに輝いたのは、開催国サウジアラビアに本拠地を置くチームです。同チームは、EWC全体を通じて安定したパフォーマンスを発揮し、2度のトーナメント優勝、そして6回のトップ3入賞を果たし、総合優勝の栄冠を勝ち取りました。この偉業により、700万ドルの賞金とEWCクラブ・チャンピオンシップのトロフィーを手にしました。
同チームのチャンピオン獲得は、単なるチームの成功にとどまらず、サウジアラビアのeスポーツシーンの象徴的なものです。国内のeスポーツに対する関心が一層高まった上、チーム名そのものも国際舞台で広く知られることとなりました。サウジアラビアがeスポーツ界において一大勢力となる日もそう遠くはないでしょう。
EWCでは多くの日本人選手も活躍
EWCでは、日本からも多くの実力派選手が参戦し、その卓越したスキルで会場を沸かせました。特に注目されたのは、Apex Legends、ストリートファイター6、鉄拳8といった人気タイトルでの日本人選手たちの活躍です。
ストリートファイター6部門では、優勝を逃したものの、トップ8のうち6名が日本人選手という驚異的な成績を収め、日本の格闘ゲームシーンの層の厚さを示しました。また、鉄拳8でも日本選手が上位に食い込み、Apex Legendsでは国内の人気チームが出場し、見事なパフォーマンスを披露しました。
これらの選手たちの活躍は、日本国内のeスポーツシーンの成長を象徴するものでもあり、今後さらに多くの日本人プレイヤーが国際大会での成功を収めることが期待されています。
開催国サウジアラビアとeスポーツの関係性
ここでは、開催国であるサウジアラビアとeスポーツの関係性を紹介します。
理由1|人口の6割がゲーム好き
サウジアラビアの人口は約3700万~3800万人で、そのうち約6割が30代以下の若者です。特に、1980年代からの石油政策により経済が豊かになった結果、人口はここ30年で急増し、その世代が現在の主要なゲーム層となっています。アニメやゲームとともに育ったこともあり、現在のeスポーツ文化の発展に大きく貢献しています。
さらに、サウジアラビア国内での調査によると、60%以上の国民が「自分をゲーマーだと思う」と回答しており、約2100万人に相当します。このように、ゲーム文化が国民の生活に深く浸透していることが、サウジアラビアがeスポーツの盛んな国である理由のひとつです。
理由2|経済課題を解決する戦略の一環
サウジアラビアは、石油に依存した経済構造からの脱却を図るために、さまざまな産業分野に投資を行っています。その中心にあるのが、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が推進する「Saudi Vision 2030」です。同プログラムは、経済の多様化を目指しており、デジタルエンターテインメントやゲーム産業もその一環として位置づけられています。
2022年にはサウジアラビア政府の公共投資基金が、世界的なeスポーツ企業であるESLとFACEITをSavvy Gamingを通じて買収したことで話題となりました。さらに、Esports World Cup Foundationも同基金からの支援を受け、国際的なeスポーツ大会「EWC」を主催するなど、積極的にeスポーツ産業に参入しています。
サウジアラビアの若者がゲーム文化に親しんでいることから、政府もこの分野に注力しており、今後もさらなる発展が期待されています。
2025年にはオリンピックeスポーツ大会も開催予定
2024年7月12日、国際オリンピック委員会(IOC)は、ビデオゲームを正式種目とした「オリンピックeスポーツゲームズ」を2025年にサウジアラビアで開催することを公表しました。サウジアラビアの国内オリンピック委員会(NOC)との提携に基づいて実施されます。IOCとNOCは12年間の協力関係を結んでおり、2025年以降も同様の大会が定期的に開催される予定です。
現時点では、開催時期や会場、採用されるゲームタイトルに関する詳細な情報は発表されていませんが、2025年に向けてさらなる発表が期待されています。
サウジアラビアが大会の開催国として選ばれた理由には、同国が近年eスポーツの分野で大きな実績を上げている点があげられます。サウジアラビアは「Gamers8」や「Esports World Cup」といった大規模なeスポーツ大会を成功させ、eスポーツ産業の成長を中長期的にサポートしてきました。IOCがeスポーツをオリンピックの正式種目として採用するにあたって、これらの実績が評価され、サウジアラビアが適任と見なされたと考えられます。
2017年頃からIOCはオリンピックでのeスポーツ種目化を模索しており、2023年には「オリンピックeスポーツシリーズ」という試験的な大会も実施されました。これを踏まえ、2025年のオリンピックeスポーツゲームズはeスポーツの国際的な認知度をさらに高める重要な一歩となるでしょう。
まとめ
2024年にサウジアラビアで初めて開催された「Esports World Cup(EWC)」は、世界最大級のeスポーツ大会として大きな注目を集めました。賞金総額90億円以上、500チーム以上が参加し、サウジアラビアのeスポーツシーンの飛躍を象徴したことがうかがえます。国内外の選手が熱戦を繰り広げ、開催国サウジアラビアに本拠地を置くチームが初代クラブチャンピオンに輝きました。サウジアラビアのeスポーツ産業の成長は今後も続き、さらに注目されることでしょう。
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記事監修
HIT GAMING編集部